彼は聖トーマス教会合唱団に対し、最高の音楽を要求し、
ヨーロッパ屈指の合唱団へと育て上げた。
バッハ不滅の名曲といわれる<マタイ受難曲>もかつて
この聖歌隊によって、その本拠地ライプツィヒの聖トーマス教会で初演されている。
バッハがこの合唱団の指導にあたったのは既に200年以上も前のことであるが、
ここでは今もなお、彼の不滅の名曲が歌い継がれている。
合唱団員は、伝統的に彼らが愛着をこめて「カステン」(箱)と呼ぶ寄宿舎で、
様々な年齢によって構成される10から12名ずつのグループに分けられ、
共に生活し、学校へ通う。
下級生の教育に上級生を参加させるシステムは、長い歴史によって培われたものである。
このシステムを通して少年達の中に、互いに助け合う精神や個人責任の念がめばえるのである。
同合唱団は、国内外でのコンサート・ツアー、ラジオやテレビへの出演および録音などを
活発に行っており、それらを通してその高い音楽性を証明している。
こうした多岐にわたる体験が合唱団の生活と音楽活動の理想的な共同体を形成し
伝統を守っている。
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